農業って、こんなことやってますシリーズ。【プラウ耕】

農業のおはなし

お米の生産者にとっては田植えが落ちついた頃なので、一息ついている人もいるかもしれませんが、農業全体としてはこれからがさらに忙しくなる季節だったりします。

農業やらなきゃ知ることもないであろうプラウ耕

いつも食べものの話が多いので、たまには農業の、なかでも農業色の濃いめの話を書いてみようと思います。

そこで今回は「プラウ耕」について。

まあ、農業者は「プラウ」「プラウがけ」「プラウ作業」って言ったりしますが(通じればOKさ)、簡単に言うと、土をひっくり返すための作業です。

どういう機械をつかうかというと、

こーゆーの。なんかもうマンガに出てきそうな凶器の風貌ですけれども。いや実際危ないんですけれども。

ちなみに、多くの方が勘違いをしているということに気付いたのですが、一般的にトラクターというのは、本体部分のことを言います。

トラクターを畑を耕す乗り物のことだと思っている人が結構いるみたいなのですが、トラクターはただの乗り物です。
極端な話、トラクターだけでは何の作業もできません。極端な話。

なので、この写真でいえば、運転する左側の赤い本体がトラクター。
そして、右側の白いジャキジャキしてる部分がプラウです。ちなみにこれは6連プラウといいまっせ。

で、トラクターでプラウを土に刺しながら引っ張って走ることで、土を掘りながら反転させることができるようになっています。

プラウ前の土は表面が乾いて白くなっていますが、プラウをかけることによって、中の土がくるんと表面にでてきて、表面の土が下にもぐります。

きちんと停止して撮影してます。運転しながらは危ないよ。

作業中の写真も撮ってみたけど、やっぱり動画じゃなきゃわかりにくいなあ。
カーブのついたヘラみたいなので、土をすくい取ってひっくり返していく感じなんですが、説明が難しい…

全然イメージできないよって人はぜひYouTubeとかで検索してみてください。

※ちなみに経験者は見てわかると思うのですが、ちょっとイレギュラーなかけ方をしています。どうかお気になさらず。

なんのためにするの?

いろんな環境や条件によって目的はいろいろあると思いますが、大きく言うと2つです。

一つ目は、養分を含む地中の土を、表面に出現させるため。

この作業は一般的に、種をまく作業の前にするのですが、プラウ前に表面に出ている土と言うのは、前回育てたものを収穫した後の土ということになります。

なので、ちょっとやりきった感のある土。そして、風雨にさらされて、固く乾燥してしまった土でもあります。疲れ切っている。

なので、まだ余力のある、いわば地中のベンチメンバーと交代させて、新しいチーム作ってこうぜ!とりあえず疲れたメンバーはベンチでゆっくり休んどいて!みたいなイメージでいいと思います。

二つ目は、地表に生えた雑草や、収穫したあとの茎や根を土の中に放り込むため。

収穫してからそのままにしておくと、春先には雑草と呼ばれる元気な植物たちがガンガン生えます。自由に生えます。
それをいちいち処理するなんて白目になるし、除草剤も使ってられっかよバーロー、なら地中に埋めて養分にしちゃおうぜ!というかなり有効なアイディアです。

植物は、枯れて地中で微生物などに分解されることによって土を豊かにするというのは、学生の記憶の片隅で習ったような習ってないような知識で残っているかもしれませんね。

このプラウ耕をすることによって、地表の土と一緒に雑草たちも地中にあばよ!です。
疲れ切った土たちよ、豊かな雑草を栄養にして、よみがえるのだ!!みたいな?

ざっくりいえば、土の選手交代、リフレッシュキャンペーンみたいな作業ですかね。

作業自体は簡単、でも、ピンの交換だけ面倒くさい

プラウ作業は慣れれば、難易度はそこまで高くない作業なのですが(逆に、こだわりだすとキリがない)、いくら慣れても面倒くさいのが部品の交換です。
まああんまり畑作では折れませんよね。折れやすいのは水田でしょうね。

農業機械に限らず、あらゆる機械はネジ(ボルトとナット)で固定されていることが多いと思いますが、プラウで特徴的なのが『折れやすいネジ』を使っているということ。

「え、ネジって折れちゃダメじゃないの?」と思いますよね。私も最初は意味が分からなかったです。

でも、プラウ作業は、固い土を力づくでガリガリ引っ張って強引に土をひっくり返していくので、機械にかなりの負荷がかかります。
しかも、ある程度の速度で走るので、例えば土の中に大きな石があったりすると、プラウが引っ掛かって、壊れたり、事故の原因になる可能性があります。

そこで、プラウに強い負荷がかかったときに、固定しているパーツをあえて折れるようにしておくことで、力の逃げ場所が出来て、機械が壊れるのを防げるんですね。

ちなみに使用するのはこれ。私たちは「ピン」って呼んでいますね。「またピン折れた~」みたいな。

ちなみにこれは手のひらサイズくらいある。デカい。重い。

ちなみに、折れると、こんな感じになります。

赤い矢印がピン穴。折れているので、下のヘラ部分はプランプランしています。
ピンは不思議なことに、折れてもなかなか落ちないので、きちんと回収します。

ここに、新しいピンをさして、しっかり締めてから、作業を再開します。

そう、これがね~。調子いい時は問題ないんですが、条件が悪い場所だと、んまあ~よく折れる折れる。そして私の心も折れる。

作業自体は、女性でもできるくらい難しくないし、そこまで力もいらないんだけど、折れるたびにピンを取り換えて、ってのが頻発すると「ぅぁああ~またかよんもぉ~!!」ってなります。替えるけどね。

プラウは不要と考える人もいる

とはいえ、プラウ耕は、やってる人もいれば、やらない人もいます。

やっている人のなかでも、「浅く掘った方がいい」「より深く返した方がいい」みたいな違いもあります。

土の状態や土づくりに対する考え方によっては、プラウ耕は「意味がない」「やらない方がいい」と考えている人もいますね。

これが農業の難しいというか、面白い部分ではあるのですが、とにかく正解がない
とにかくやればうまくいくってもんでもないし、どこかでうまくいっていることも、他では問題になることもあったり。

私は単純に、土がクルクルひっくり返っていくのが楽しいので、プラウ好き。笑

見た目、いかつくて大きくて、かなり迫力かましてるわりに、結構、丁寧かつ慎重な操作が必要とされるあたりもね。なんかね、可愛いよね。(?)

さて、いきなり始まったシリーズですが、どれくらい展開されるかは未知です。
案外すぐにネタに尽きるかもしれない。飽きるかもしれない。まあ、その時はその時です。

なかなか知ることがない部分を紹介しながら、細々とやってってみようと思います。

つづく

 

 

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