すっかり梅雨モード。今日も気温はそこまで下がらなかったものの、風がとても寒かったです。
なんだか顔をしかめたくなる天気ですが、テレビの天気予報に映る街は、色とりどりの傘が目に楽しいですね。
冬物を閉まっては引っ張り出すというのを、今年はいつもより余計に多くしている気がしますが、こればっかりは仕方ないですね。着るもので調節できるくらいなら、まあいっか!
◎お米のはなし
さて。珍しく仕事の話。私は農業を仕事として、野菜を育てたりもしてきましたが、現在は主にお米を作ってます。
お米、好きですか?食べてますか?
私のまわりには、お米大好き!白米大好き!って人が結構いるんですが、実は私はあまり食べません。作っているのにね。え!ちょっと!なにそれいいの?!って感じですよね。笑
でもね、嫌いなわけではなくて、むしろ美味しくいただきますよ。炊きたて最高!
ただ、困ったことに、野菜も、お肉もお魚も大好きなんです。しかも、薄味の、素材の味わいが感じられるものが特に好みなんです。新鮮な野菜はドレッシングもかけず、生食か塩ゆででガンガン食べられます。
となると、ごはんに合うおかずばかりでもなくて。それに、ほら、ごはんって、かなり満腹感あるじゃないですか。いいことなんですけどね。
世の中ありとあらゆる美味しいもの、旬のものがあるなかで、ごはんでお腹いっぱいになるのがもったいない気がしてしまうんです。笑
んー。なんとも贅沢な悩みですね。
とはいえ、ごはん自体は好きなので、シンプルに卵かけごはんや、お漬物で、モリモリ食べられちゃうんですけどね。でも、パンや麺も美味しいですからね。そりゃあ昔と比べてしまったら、お米の消費量は格段に下がったと思います。
◎田植えをする前のお話
さて、そんなお米も、田んぼで育てられたものが食卓にあがるということはご存知ですね。
実家が農家ではなくても、学校や地域、さまざまなイベントで、田植えを経験してる人もいると思います。(その場合は主に手植えでしょうね!)
では、その、田植えをするための田んぼの作り方って、知ってますか?
「え?田んぼに水を入れたら植えられるんじゃないの?」
まあ表現は雑ですけど、私は稲作を始める前まではこれくらいアバウトに考えてました。
学校行事で田植えもしたことあるし、田舎育ちなので、通学路も田んぼだらけ、人の田んぼに入って泥遊びするような子どもだった(一応よい子は真似しないでねと言っておきます…)にも関わらず、田植えまでの過程なんて、ちーっとも知りませんでした。
田植え前の、水が張られて、田んぼが鏡のようになっている景色を知ってる人は多いかもしれません。夜なんか、その水面に月が映ったりすると、めちゃくちゃ幻想的で、好きな瞬間です。
ですが、この光景は、田んぼ作りの最終段階。ここまで来たら、田植えを待つだけです。では、その前にどんな工程があるのでしょうか。
◎田んぼの作り方
前年めでたく稲刈りをした田んぼは、もちろん水なんてありません。カラカラです。刈り取った稲株が残されている、畑、というより空き地のような状態です。
冬は一般的には特になにもせずそのまんま、春を待ちます。雪国だと、雪解けが作業開始の合図です。
まずは、乾いて硬くなった土をほぐすとこから始めます。肥料を与えるならば、このタイミング。肥料をまいてから、土を砕いていくと、いい感じに土に混ぜこむことができるんですね。

左側が掘る前。右側が掘った後。
それから、水が来るのを待ちます。…ん?え?待って、水が来るって何?どこから?
そう思ったアナタ、そりゃそうです。笑
一般的に農業で使う水は農業用水といって、飲用ではなく、山や川からひっぱってきたものです。つまり、地域全体で共有して使う水になるので、極端な話、どこかが大量に使いすぎると、どこかで足りなくなってしまうこともあります。
そして農業用水は、年がら年中使えるわけではなく、きちんと管理されたうえで、地域によりますが、主に農業シーズンとなる春先から秋口あたりまでなど、使用期間が決められています。
同じ作物を育ててる以上、水を必要とする時期はどこも同じなので、奪い合いになりますが、そこはやはり揉めないようにみんなで譲り合って使います。

水を入れた田んぼ。固かった土が水を吸います。
さて、水が来ると、掘ってあった田んぼに水を入れ、「荒かき」という作業に入ります。※荒かきをしないところもあります。
これは、ゴロゴロとした土を砕いて、水と混ぜるようにする工程です。こうすることで、収穫から冬を越してカチカチになっていた土がほぐされ、田んぼの土に変化していきます。

手前が荒かき前。奥が荒かき後。
それが終わると、「代かき(しろかき)」という作業に入ります。
これが田んぼ作りの仕上げ。
荒かきで水を含んだ土を、さらにトロトロに細かく細かく混ぜていきます。水と混ざらなすぎてもダメ、逆に混ぜすぎてサラサラにしてもダメ、という絶妙な土加減を狙っていきます。
と、同時に、田んぼを平らにならしていきます。これが難しい。
地表を同じ高さにすることで、水深が同じになり、栄養や薬が均一に行き渡るので、全体的にムラのない同じ品質のお米がとれるんです。機械の微妙な調整で、高さを調整していきます。
実はトラクターって、前よりも後ろを見ながら作業することが結構あります。自分の走った後の土がどんな状態になってるかを確認して、おかしければ調整しながら走っていくので。
こうして、全体的に平らで、トロトロした土になったら、ようやく田植えが出来るようになります。※厳密に言えばその前にも細かな作業はありますが。ここはカットカット!
代かきが終わると、田植えをするまでは水を張っておくので、鏡のようになり、夜の月も綺麗に映るというわけです。ほほう、そうだったのかー!
◎見える景色が変わるかな
この先、田植え前に水面が鏡のようになっている田んぼを見たら、「お!あそこはもう田植え準備バッチリなんだなー」と思って見ると、知っているようで楽しいかもしれませんね。
今まで気にしなかったけど、田んぼに水が入ってるのにゴロゴロした土が残っていれば、「あー、ここはこれから田んぼ作りなんだなー」って思ったり。
そんなふうに、いつも横目で何の気なしに見えてた風景が、いままでと少し違って見えたら、世界はいまより面白くなるのかなって、思ってみたり。
あなたの街は、いま、どんな景色ですか?
つづく。
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