農業を仕事にする会社員は「農家」なのか、違うのか。

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「お仕事何しているんですか?」という質問は、初対面同士の当たり障りの無い会話によく聞かれる質問ですね。

正直、この質問が苦手だったりします。

というのも、私の職種は農業ですが、職業は会社員です。サラリーマンです。

農業》で《会社員》って、ピンと来ない人もいるかもしれませんね。だって、私ですら、なんと自称していいのかいまだにわからないんですもん。

◎自分のことを「農家」とは紹介できない

「農家」っていうと、家という漢字も付いてるように、家族(個人)経営で、先祖代々農業をしてきた人というイメージを持ってしまいます。

そのイメージは根強いようで、「農業をしています」というと必ずといっていいほど、実家が農家だと思われます。

ところが実際は、私の両親、兄弟はまったく関係ない職に就いていて、祖父母でさえ農業はしておらず、農業とはほとんど縁のない家庭で育ちました。

なので、「農業をしている」というと、女性であることや年齢のこともあり、非常にくいつかれることは多いのですが、そこからの質問攻めは、かなりのパワーを使います。

でもそれは、《農業》という仕事に興味を持つ人がそれくらい多いということでしょうから、うれしくも思います。

「事務しています」「営業しています」「販売員しています」といっても、誰も「じゃあ先祖代々事務職なんだ!」「アパレル業界の家系なんだね!」なんて思わないと思うんですが、《農業》は、もっといえば《農家》はまだまだ世襲制のイメージが強いんだなーと思います。

「家族は誰も農業していないし、我が家では畑も持っていない」というと「じゃあなんで?」と言われます。ほぼ100%です。

中には、「じゃあなんで(実家が農業でもない限り絶対やりたくないような仕事をわざわざ選んでしているの)?」というニュアンスがこめられていることもあります。笑

でも、親に反対されても貧乏暮らししてでも芸人を目指す人もいれば、毎日毎日シャンプーと掃除で手をガサガサにひび割れさせながらも頑張る美容師や、本当は社交的なのに一日中パソコンと向き合う事務をしている人や、子どもを育てていくためにビルや駅などをひたすら掃除している人もいますよね。

私からすれば、「しっかり働こう」と思えば、どんな仕事だろうが楽な仕事というのはなくて、でも、そのなかでも、「これならキツイことがあっても頑張れるかもしれない」と思えたのが、たまたま《農業》だっただけの話なんです。

みなさん、仕事を探すとき、家族の職種なんて考えましたか?

もちろん自営業をされている方であれば、跡継ぎなども関係するので、考えた上で決めた方もいると思いますが、ほとんどの人は、《自分がやりたいこと》《自分が入れそうなところ》を基準に選んだのではないでしょうか。

だから、いまでも実家の家業として農業を継いだ人もいますが、実家や家族は関係なく、新規就農した人(脱サラ含む)や会社員として就職した人は、結構多いんですよ。

◎農家の「家」は家族というわけではない?

散々「農家」は家を連想させるといいましたが、同じ「〇〇家」でも家ではなく、個人をイメージするものってあるんですよね。思いつきますか?

たとえば「作家」「画家」「噺家(落語家)」「漫画家」「実業家」などなど。

《家》には、職業を表す意味もあるんですね。特に芸術系の専門職に使われることが多いですね。そのひとのカラーが強いもの。

性質で言えば、農家も同じジャンルだと思います。

同じ作物でも、土地の気候や土、さまざまな条件によって栽培の方法は無限にあります。その土地の利と作物の利を見事に調和させることが農業であって、それはある意味芸術だと思っています。

だから、そういう見方をすれば、「農家」という呼び方は合っているなーと思うのですが、どうしてもこの職種に限っては、個人ではなく家族のイメージが強いんですよね。

そのイメージがあること自体は構わないのですが、現代では、実家が農家の人こそなかなか農業を仕事に選んでいないのもまた事実。

跡継ぎのいない農家は、農地や機械をうまい具合に手放したくてしょうがないんですね。何十年も、あるいは何百年も、数々の「農家」という職人たちが手をかけてきた農地を。

子どもたちだって使いもしない土地を相続したくなんてないですし。そりゃそうなんですよね。

ただ、良い土は簡単には作れない。一度放棄地にした土地をよみがえらせるのは、簡単ではありません。

土の専門家たちが守ってきた農地が減って行くのは、有名画家の見事な絵画や、有名漫画家の貴重な作品がすっかりすべて燃えてなくなってしまうようなもの。

非常にもったいないことです。

◎「農家」になることは選べる時代

私はいまも「農家です」とは言えないのですが(なんとなく、です。)、「農家」はいまや世襲制ではありません。

農地や機械にあてがあるならまだしも、ゼロから始めるのは大変です。

でも、不可能ではありません。

ただ、ハードルは高いと思います。相当なガッツがない限り、めげちゃうと思います…

私は、職種として、もっと「農業」が選ばれるようになればいいと思っています。

とにかく今は、農業関係の法人ははっきりいってめちゃくちゃ頼りなさ過ぎる。法人のフリをしたような会社が結構あります。

でも、全体としては確実に改善はされていくだろうという実感はあります。

いつか、「事務員です」「保育士です」「農家です」と紹介して、「へー」で済むような時代が来たら、そこが私の目指す新しい農業の世界です。

ちょっと後半は、たべものがたりではなく、ゆめものがたりのようになってしまいましたが、たまにはね。

おしまい。

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