グアバはいつか、振り向いてくれるんじゃないかって期待している

「食」と世界
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グアバを見ると、たまらなくなる。それがなぜなのかはまったくわからない。

そもそも日本に住む人にとって、グアバと言うのはあまり馴染みがない。
「グアバ」と聞いて、その見た目や味をパッと想像できる人はそんなに多くないだろう。

私は、グアバが好きなのだ。

でも、人に「美味しいか」と問われたら、「美味しくはない」と答える。
別に、本当は美味しいから独り占めしてやろうとか、意地悪してやろうってわけじゃない。

美味しいのかと聞かれたら、特別美味しいものではないと本気で思っているからだ。

でも、どういうわけか、私はグアバを見ると落ち着かない。食欲がそそられる。

香りは、それはもう南国フルーツらしい爽やかで甘みのある、高級で心地よい香りがする。

しかし味は、梨に例えられることが多いけど、梨に失礼じゃないかと不安になるくらい、あんなに甘くもみずみずしくもない。

カリっと、サクっとした食感で、遠く彼方にほんのりとした甘みを感じる。種も多くて口当たりがいいとも言えない。
わずかな果汁には、はっきりとした清涼感はないものの、これまたはるか遠くに爽やかさを感じる。

グアバにも種類があるので、厳密に言えば種類によって風味は変わってくるけれど、これまで3種類くらい食べたことがあるなかで、日本のフルーツより甘く、美味しくて感動したものはない。

ここまで行ってしまうと、日本語が読めるグアバ農家さんの怒りを買ってしまうかもしれないけれど、でも、これでも私、グアバが好きなのだ。

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初めてグアバに出会ったのはいつかわからないけど、自分の意志でお金を払ってグアバの実を食したのは大学生の頃だった。

当時、バイト代を貯めては、時間を作って海外に行っていた私にとって、珍しい食べ物に出会うことは旅のひとつの醍醐味で、フルーツも例外ではなかった。

パッションフルーツ、スターフルーツ、ランブータン、マンゴスチン、ドラゴンフルーツ、ドリアン、ジャックフルーツ、ランソネス、カラマンシー、レンブ等々…

なかでも日本ではあまりお目にかかれない南国フルーツは、刺激的で魅力的で、ちょっと怪しさもあり、どれも最高に印象的な美味しさがあった。

さらに、バナナやパイナップルなど、日本でもなじみ深いフルーツでさえ、南国のものにはかなわなかった。

いままでで世界一おいしいと思ったバナナは、フィリピンの道端の屋台で売られていたもの。
めちゃくちゃ濃厚で甘くて、まったく青臭くなくて、それだけで幸せを感じられるほど美味しかった。

それでも、なぜかグアバに惹かれる。

これまでに挙げたどのフルーツよりも甘みは控えめかもしれない。でも、好きだ。

フィリピンに3か月ほど滞在していた頃、屋台のフルーツ屋さんを巡っては、しょっちゅうグアバを買っていた。

フルーツナイフでカットすると、写真映えもしない愛想のない白い果肉が現れて、そのままサクッと齧っては「んーやっぱり好きじゃないかも」と思うのだけど、数日後にはまた同じようにカットしている。

自分でも不思議なくらい、グアバに出会ってからどこへ行ってもグアバを見るたび、「あ、グアバ。」と気にしてしまうのだ。

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台湾に行ったとき、グアバのドライフルーツに出会った。

これは、ピンクグアバ。見た目がクリスマスで可愛い。

あそこはとにかくなんでも干す国だ。(断言)
野菜やらフルーツやら、少しでも水分を含んでいようもんなら、親の仇のごとく見事に干す。そして、めちゃくちゃ美味い。

台湾旅行の楽しみのひとつが、さまざまな乾物を持ち帰ることである。

なぜなら乾物は長期保存が可能だからだ。
帰国後もゆっくり、じっくり、時間をかけて、台湾の味を楽しむことが出来る。最高。

台北市内の南門市場で、グリーンとピンクのグアバのドライフルーツを一袋ずつ買った。一緒に、イチジクとか檸檬とか、いろいろ買った。

「ドライフルーツになれば、もしかしたら甘みが増すとか、化けるという可能性があるんじゃないだろうか?」

そんな淡い期待を持ちながら、ついにお楽しみのドライグアバを食べた。

結果は、やっぱり愛想のない甘さを遠くに感じる、私が良く知るグアバだった。

いよいよ笑えてくる。
一緒に買ってきたイチジクやマンゴーなんかは、とびきり甘くて、ヨーグルトと一緒に食べるくらいがちょうどいいくらいだったのに。

あんなに豊かな香りをさせておきながら、グアバはちっともこびない味をしている。

でも、ますます私はグアバが好きになった。

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グアバは、ジャムなど砂糖を使って加工して食べるのが一般的らしい。
そうだ。甘みが加われば、こんなにいい香りで爽やかなグアバはきっと最強なのだろう。

でも、私は、あえてこれからも果実を食べていくと思う。ジャムを食べたとしてもね。

たぶん。どんなにこちらからアプローチしても、微笑みかけもしてくれないツレなさが好きなのだろう。
ツレないくせに、遠くに甘みをちらつかせ、うっとりするくらいいい香りをさせてくるのだから、きっと向こうだって私のこと、そこまで嫌いじゃないはずだ。

そこまで美味しいわけじゃないって、わかっていても何度も手を出すのは、次こそはきっと美味しく感じるんじゃないかってどこかで期待しているから。

きっとまたグアバを見つけたら私は食べるだろう。

きっとまたグアバはそんなに美味しくないんだろう。

でも私は、その時間を、いつもの遊びのように楽しんでいるのだろう。

いつか振り向いてくれる時を待って。

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早く、みんなが自由に行き来出来る世の中になりたいね。

 

 

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