少し前になりますが「3人家族の食費を1カ月2万円で済ませている」という人の記事が話題となっていたので、ちょっと気になって記事、ではなく、それに対する世間の反応を眺めてみました。
本来、食費を比較することは無意味
SNSとかで食費に関する反応をみると、実にいろんなものがありましたね~。
「1カ月2万とかムリ!あり得ない!」
「ちょっとこの記事は怪しい。本当だろうか?」
「素直にすごいなーと感心する」
「そこまで食費削って栄養が足りるのか心配」
「うちは2人暮らしだけど月6万は普通にかかるけど」
などなど…
これは、アレに似ていますね。
「手取り20万じゃ将来が不安」みたいな発言に対して起こる、
「いや、そんなにもらえたら十分だし」
「手取り11万の俺には将来がないな」
「てゆうか正社員なだけマシだと思う。贅沢。」
みたいな、お決まりとなりつつある一連の流れ。
でもね、一連の節約に関する記事やデータをよく見ている人ならよくわかると思うんですが、節約って、小さな積み重ねや並々ならぬ努力も成果につながることは多々ありますが、一番左右するのって環境だと思います。
だから、手取り20万で不安になる人もいれば、15万で楽しく暮らしている人もいるし、食費2万で足りる家庭もあれば、10万かかる家もあるのは当たり前のことです。
(ただし日本の賃金は物価やかかる税金に対してあまりに低いので上げるべきとは思っていますが)
今の世の中、いろんな節約方法が溢れていて、それらを参考にすることはあるけど、よそのお家の収入や生活費がいくらかは基本的にあまり参考にしません。
というか、参考になりません。
家賃と言っても、持ち家なのか、ローンなのか、借家なのか、社宅なのか、住宅補助が出ているのか等々でほぼ同じ大きさの家に住んでいても違ってくるじゃないですか。
(もっと言えば保険とか修繕費とか固定資産税とかも差があるし)
食費で言えば、都市部なのか地方なのか、激安店があるかないか、実家や親戚が農家かなどなど、環境によって結構左右されやすいと思うんですよね。
だから、最初に言ってしまうけど、
《食費を安く抑えれば抑えるほどデキる主婦(夫)》みたいな考え方は、完全に間違っています。
普段はあんまり言い切ることはしないようにしているんだけど、これだけは主張していきたいので、ハッキリ言っちゃいますけどね。
「安ければ安いほどいい」という人もいるでしょうが、それはそういう考えがあってのこと。
だから、「家は3人家族で4万もかかってる…でも2万でやれている人もいるんだ…」なんて比べて落ち込むことはないね。まったく。
そもそも食費のくくりは統一されていない
一言に「食費」と言えども、実はそのくくり方って、人それぞれだと思うんですよね。
例えばざっくり挙げてもこんな感じ。
・普段のごはんの材料費のみ
・普段のごはんの材料費+おやつやお酒などの嗜好品
・普段のごはんの材料費+嗜好品+外食費
・普段のごはんの材料費+嗜好品+外食費+飲み会代
単純に「食事」のための食材なのか、外食や飲み会など、あらゆる飲食に関係する費用を含めたものなのかによって、金額って大きく変わってきますよね。
また、比較的おおきな出費となるお米や調味料代は特別費にして、食費には含めないという人もいます。
つまり、食費といっても、内訳がわからないまま、総額だけで比べてもあまり意味がないと思うんです。
食費が安い ≠ 健康的な暮らし
最初に行っておくと、「節約」をすることは決して悪いことではありません。
私も、節約は意識しているし、欲しいものを我慢することもよくあります。
だから「無駄遣いをしないようにして食費を抑えていこう!」という考え方には賛成だし、私も心がけたい!
ただ、「うーん、どうだろう」と思うのは「食費を抑える」ということがなによりも大前提にある場合。
これは、食生活アドバイザーの観点からしても賛成しにくいものではあります。
なぜかというと、食費を中心軸に考えた時、人は食べ物を「価格」でしか見なくなってしまうからなんですね。
食べものには、もっといろんな情報が詰まっています。
産地や旬、栄養成分、加工品であれば原材料などなど。
たとえ食べものに詳しくなくても、見た目で「美味しそう!」と思うものが見つかることもきっとあると思うんです。
でも、食費にとらわれ過ぎると、どんな食べ物を見ても、値段が判断基準になってしまう。
これは注意しないといけないことです。
だって、身体に入れるものですから。
注意しないと、「食費を安く抑えたがために体調を崩して、医療費が超かかってしまった」という本末転倒なことが起こらないともいえませんよ。
食費はかかっても無駄にしなければ最も還元されるお金
節約名人には、食費を抑えながらも栄養バランスよくしっかり料理できる人もいると思います。
でもそれは、ある意味プロなのです。誰もが出来ることではありません。
ただ、どんな人にも言えることは、食費、すなわち食べるために使うお金というのは、栄養やエネルギーとなって確実に自分や家族の身体に使われます。
仕事も趣味も、楽しく生きていくためには、まず健康でいることが大切!
そう考えた時に、そのエネルギーの素となる食事にかかるお金は、もっとも自分に還元される投資のようなものだと思います。
だから、まわりより食費が高いと思っても、自分が「いいな」「おいしいな」と思えるものを選んで、無駄なく美味しく食べられているなら、それは必要最低限かつ有益なお金の使い方。
女性でいえば、美容に月何十万かけても肌トラブルに悩まされる人もいれば、ほとんどお金をかけなくてもツルツルお肌の人もいるじゃないですか。
だから、参考にするのはいいけれど、すっかり真似てみたからって自分も同じようにうまくいくというものではないんですよ、食費も。
大切なのは、自分にはどれくらいがストレスにならず、家計を圧迫せずに、満足できる食事ができるかのラインを見極めること。
安いからいいというのは、なかなかキケンな考え方だと私は思います。
安く買うより、捨てないことが節約には重要!
節約の話になると、「いかにお得にゲットしたか」に注目されることが多いですが、実は、使うお金を意識しなくても、捨てるお金を減らすことで節約につながることは多々あります。
安いからとたくさん買って、使いきれずに捨ててしまうことがあるという人は、まず捨てる食材を減らすように気を付けることから始めた方が、節約につながることもあります。
お得だからとスーパーを何件も回るのも楽しいですが、それに伴う時間や労力、場合によっては交通費を考えた時に、自分にとっては何が一番パフォーマンスが高いかを知るだけでも変わりますよ。
たとえば我が家の場合は、こんな基準で選んでいます。
野菜:比較的安い旬のものを中心に選び、時季外れはあまり選ばない 肉類:むね肉やホルモンなどの部位を使い分けたりして適度に買う 魚類:海産物は何より鮮度と旬を意識する 加工品:原材料を確認し、納得できるものを選ぶ 生鮮品に関しては、頭の中でおおまかに食べる予定を組んで、 次の買い物日までに食べきれる量だけを買う。
突発で予定が変わって、家でごはんを食べないこともごくたまにあり、そうすると食材が飽和状態になって傷めやすくなっちゃうので、基本的には少な目に買います。
冷蔵庫に何にもないな~と思っても、家中探しても本当に何にもないということは案外ないので、とにかく買うときの値段よりも捨てる食材を減らすことだけは意識しています。
うちはうち、よそはよそでいい
何度も言いますが、経済事情や家庭環境は千差万別なので、1円でも食費にお金をかけられない(かけたくない)という人もいると思います。
それは、そういう価値観でいいと思います。批判する気はまったくなしです。
ただ、よそを見て、自分ちが高いとか安いとかは参考にならないんじゃないかなというお話。
もし、本当に食費を今よりも抑えたいと考えているなら、まず初めに見るべきはよその節約上手さんではなく、自分ちの冷蔵庫。
どんな食べ物をどんな割合で、どれくらい無駄なく使っているかを知らずに、ただ金額だけを減らそうとするのは、本当に健康に影響がでる可能性があるので、くれぐれもくれぐれもお気をつけください。
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