テレビをみていたら、「どうしてカツオのタタキは、炙っているのにタタキなの?」という話題があがってた。
ふむふむ。たしかに普通は炙ったものは「アブリ」になるよね。うん。
◎そもそも「タタキ」ってなんだ
「たたき」とは、生肉や生魚を細かく切り刻んだ料理のことらしい。そう、基本は生ものであるということ。
タタキ料理の代表格といえば【なめろう】がありますね。(なめろう大好き!)
アジをはじめとした青魚を、時には骨ごと細かく叩くように刻んだものに、ネギや生姜などの薬味が合わさり、味噌などで味付けされた、魚の「タタキ」料理ですね。
他にも【和牛のたたき】なんかは、生肉を叩くように細かく切って、味付けなんかしたものですね。本来はね。
いまで言うとこれは、ユッケなんかが当てはまります。
ところが居酒屋で見るようなお肉の「タタキ」料理は、ローストビーフのようなものが多い。これが、【カツオのタタキ】との違いをかなり曖昧にさせてますね。
◎鰹のたたきはなぜタタキ?
その、5歳児が歯切れのいいトークで進行する番組(笑)の回答のように言うと、「叩いているから」です。
えっ、そ、そのまんま…?
つまりね、鰹のたたきの作り方を見るとね、鰹を柵ごと炙って、スライスして、その上から塩(たれ)をまぶしてね、手で押さえていたんですよ。
そう、この最後の手で押さえる工程が「叩き」なんですって!!!もうね、叩いているというよりかは、完全に手でちょこっと押さえている程度だったんですけどね、これが「たたき」の由来なんですって。
目的としては、昔は調味料がたいへん貴重だったため、わずかな調味料で味をしっかりつけるため、そしてよくなじませるために、この行為が大切だったそうな。
それはなんとも納得できる理由ですよね。でもまさか、それがタタキの由来になるなんてなー。昔はもっと叩いていたんじゃないのかな。なんか、テレビで観た「タタキ」は全然たたいていなかったよ、やさしかったよ。
となると、居酒屋やごはん屋さんでみる【和牛のたたき】は、こっちの使われ方のほうが主流になっているということですね。表面を炙って、下味なのか、最後になのかはわからないけれど、きっと叩いて味付けしているのでしょう…叩いてておくれ…
◎鰹のたたきはなぜ生まれたか
そもそも、なんで数ある魚の中でも、鰹だけが突出してたたき料理で有名になったんでしょうか。
それは、昔々、鰹が有名な土佐(現在の高知県)の藩主であった山内一豊公が、当時はやっていた食中毒を警戒し、生食を禁止する法律を出したんですって。
これにより、土佐人のご馳走であった鰹のお刺身も食べることが出来なくなりましたが、人々は鰹のお刺身の美味しさが忘れられなかったんだと。
それで、どうにか食べたいと考えた結果、表面だけを火で炙って「これは火が通っているから生じゃない!」といって食べ始められたのが始まりだとか。
もうまさにレバ刺し事件(事件ではないか)と同じですね。私はレバ刺しが大好きなので、生食禁止になったのは今でもつらいです…
ただ、鰹の場合は、その炙るという調理法が思わぬプラスに働いてね。
まず、鰹の皮は硬いんだけど、炙ることによってパリパリになり、香ばしさが生まれました。
そして、炙ることによって、鰹特有の生臭さが消え、苦手な人でも抵抗なく食べられるようになりました。
それから、表面を炙ることで、余計な水分が飛んで身がしまり、プリッと、ムチッとした食べ応えのある食感が生まれました。
さらに、刺身にすると皮をはぐのですが、そうすると皮と身の間にある脂もはがれてしまうのが、皮ごと炙ることで、鰹のおいしい脂まで頂くことができるようになりました。
つまり、《鰹×炙り》は、最高の組み合わせだったというわけですね!!!
◎カツオの栄養と食べ方
秋のカツオは、別名「トロ鰹」とも呼ばれるほど、脂の乗ったおいしい戻り鰹です。海の栄養をみっちり蓄えていますからね。
鉄分が豊富で、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB群も多く含まれています。
生姜や、ミョウガ、にんにく、シソやネギなどと合わせて食べると爽やかで美味しいですが、豊富に含まれる鉄分は、クエン酸と一緒にとると吸収率がアップするので、薬味が乏しくなる秋は、旬のカボスやスダチをかけて食べるのも、季節をフルに生かした食べ方でおすすめです。
我が家は毎年、大分のカボスを送ってもらうのですが、脂がのった鰹と本当に相性がいいですよ。
海を泳ぎまわる回遊魚のエネルギーを美味しくいただきましょう!
おしまい
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