箱根駅伝の風が強く吹いている。

しんどいくらい冷たい吹雪と、しんどいくらいまぶしい太陽が、不規則なローテーションで入れ替わるような日。

日中から年末年始で堕落を極めた体を、せめて洗い清めようと温泉に日帰り入浴に出かけ、サウナに入ると、いよいよ箱根駅伝も9走で、これは最後まで見なければと出たり入ったりを繰り返し、火照る体で青山学院の圧勝を見届けた。

昔から、圧倒的に短距離走派だった私は、いよいよ長距離走の魅力がわからないままこの年まで生きることになったけれど、どうにか見ている分には楽しめるくらいにはなれたみたいだ。

ちょっと前の私にとって、大学生といえば、”ほぼ大人のお兄さんお姉さん”だったはずなのに、あっという間に彼らは10近くも年下になり、もはやただただ可愛く尊い存在になっている。

この現象はアイドルや芸能人にも通じるけれども。

とにかくそんな大学生が、懸命に走っているのだ、ただひたすら。

アツいねえ。非常に、胸にこみあげるものがあります。

ただ黙々と走っているように見えて、画面越しに見ている人、なんなら選手以外には誰もわからない駆け引きや競り合いがあるんだろうな。

そんなわけで、ベタだけど、久しぶりに『風が強く吹いている』を読み始めているわけですよ。

あまりにも有名な作品だから、読んだことある人も多いことでしょう。

ザ・駅伝のお話ですが、まあ私みたいに、駅伝はおろか長距離走に知識も理解も興味もない人もきっと面白い。

少なくとも私は好きな作品のひとつです。

これを知ったのはまさに大学生の頃だったんだけど、友人たちの間で流行り、回し読みされて、彼らはこの小説に感化されて、実際に駅伝大会だかフルマラソンだかに出場していたよ。

もちろん私が走り出すことは後にも先にもないのだけれど、でも走りたくなるという気持ちにさせる小説だということはよくよくわかる。

この小説を読んでから、箱根駅伝の見え方がガラッと変わったし、黙々と走る彼らの後ろに広がるドラマを想像してはワクワクというか、ゾクゾクというか、新しい興奮を覚えるようにもなったもの。

ちなみに、だいぶ前に実写映画化もされているんだけど、映画も面白かったな。

キャストも私にとってはとてもイメージに近かったし。特に小出恵介。

小出恵介は、本当に彼にしかできない絶妙な役柄が多かっただけに、もし機会があるのであればまた画面越しに演技をみたいとひそかに思っている俳優のひとり。

活字苦手だわ~って人は、映画もいいかもね。

選手の皆様、今年も私に静かで熱い時間をどうもありがとうございました。

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