Twitterでは、定期的に給料や収入に関する話題がトレンドに上がる。
今日も「手取り13万」がトレンドに上がって、そこではこれまた定期のように同じような論争が起こっていた。
手取り13万じゃ無理www
都市部か地方かにもよる!
贅沢しなきゃ余裕!
俺(私)なんて10万だからまだまし。
文句あれば転職すればいいのに。
なんの努力もしないで給料に文句言うなよ。
などなどなど。もう見慣れているほどだ。
私は、かつて都市部で正社員として働いていたことがある。
その時がまさにこのレベルだった。
当時の私は、いいと思える仕事に巡り合うことができたありがたさで、給料額については正直シビアに考えていなかった。
というか、正社員で暮らしていけない給料な訳がないとすら思っていた。
だって他にも社員はいたし、そりゃ先輩になるわけだからもう少しもらっていはいるだろうけど、最初から高かったわけではないし、なんて。
結論として、13万円では、健全な生活と人間関係を保持していくのは限りなく難しいと感じた。
仮に、13万の内訳を設定してみるね。
家賃 55,000円
光熱費 8,000円
通信費 3,000円(格安キャリア等)
食費 20,000円(自炊中心)
日用品 5,000円
服飾代 5,000円
交際費 10,000円
貯金 20,000円
―――――――――――――
計 126,000円
あれ?え?いけるじゃん!
まさかね。こんなのただの仮定ですから。
実際これを叶えるとしたらどんな暮らしになるか。
●家賃
まず、関東圏の都市部で5万円台の物件はレアです。
厳密にいうと、あるにはあります。
でもそれは駅から余裕で10分以上歩く、築10年以上はザラ、防犯対策貧弱、日当たり最悪、事故物件etc…
なにかしら「おお…」という条件が1つならまだしも複数ついていたりします。
ちなみに大学時代、先輩が3万円台で住んでいたのは、シャワーとキッチン共用、6畳ほどの部屋にトイレだけが付いたかなり古い木造の和室。
それが悪いとは言わないし、私もよく遊びに行っていたけれど、女性の1人暮らしにはオススメできません。
ちなみに私の場合は、持ち家のあった先輩のお家に居候させてもらっていました。
仕事が落ち着いたら引っ越す予定だったけど、引っ越し資金すら貯められなかった。
でも、仮に都合よくいい物件が見つかったとします。
●光熱費
ここに関しては、個人差も地域差も大きいので、1人暮らしの平均から算出しました。
自炊をするかしないかにもよるし。
ちなみに毎日湯舟につかるタイプの人であれば、これよりさらに高くなります。
あと、ガンガン攻めた温度設定でエアコンを使う人もこれより上がります。
●通信費
通信費に関しては、格安キャリアがかなりメジャーになって来たので、これより安く抑えることも可能。
あとは、家で作業や仕事をする場合にネット環境が必要だと、そのお金もかかりますね。
●食費
これも個人差が大きいので、これ以下で抑えることも可能だろうし、私も自炊してこの予算内に収めること自体はできると思います。
でも現実的な話をすると。
私は始発で出て終電で帰るような日もザラにあったし、残業も余裕であって、定時で帰れるってことは基本的になかった。
睡眠時間の確保に必死だったので、お弁当を作る気持ちの余裕も体力もなく、お昼はコンビニで1番安くてかさのあるパンを選んで、夜はフラフラのまま駅近くのチェーンの定食屋さんで安い定食頼むみたいな生活でした。
だから全然2万円におさえるのは無理でした。
●日用品
これはティッシュとかの紙類とか、シャンプーとかね。
月によってバラつきはあるだろうけど、このレベルだとまあドラッグストアの安いのしか選べないよ。
安いからダメってわけじゃないけどね。
あと、女性は生理用品が地味にかさみますよね。
買えなくなるほどではなかったけど、「生理用品が買えない問題」は実際にあるよなって思います。
必需品なのに、大切なのに、後回しにされちゃう。
だって、生理用品でお腹は満たせないし、生理用品だけじゃ町は歩けない(服が必要)。
●服飾代
さて、服飾代。5000円に設定したけど、これは最低も最低のラインです。
靴下と、下着と、インナー類を定期的に交換するためくらいの予算。
コートはおろか、ニットも可愛いスカートも新しいカバンも帽子も買えません。
しまむらでも厳しい。アパレルブランド物は無理。
ちなみに私は仕事用の靴下は100均で買ってました。そのレベル。
●交際費
これは、まあ、削ろうと思えば削れるけど、心も削れます。
職場の先輩や同僚のお付き合いもあるし、友人と飲みに行くこともあるし。
正直飲みに行けば1万なんてすぐ飛んでいきますけど。
●貯金
これはただの理想です。実際ほとんどできないと思います。
突発的にお金が必要になることなんてよくある話だし。
もう、赤にならなきゃ良いって感覚です。
お金が余るくらいならたまにはサンドイッチ買いたいとか思っちゃう。
昔、「ホームレスの人にお金をあげて、大切に使ってほしいと思ったら、すぐに焼き鳥をかって食べちゃった」というお話を聞いたことがあるんだけど、その時は、「なんてもったいないんだろう。貯めておけばいいのに。」って思ったんだよね。
でも、いまはその感覚がわかる気もします。
普段コンビニのサンドイッチも気軽に買えない人間にとっては、サンドイッチを買うことが最も素敵なお金の使い方だったりするんだよなあ。
当たり前にサンドイッチや焼き鳥が食べられる人には、「お金に困っているのになんでそんなものに使っちゃうの?」って思うんだよね。
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さて。まあざっと書いてみたけど、とにかく手取り13万じゃ引っ越しも出来ないし、安心できる家に住むことも出来ません。
ちなみに私は、交通費もほとんど自腹で、仕事で使う道具も自費で用意、休日も無休で研修会に参加しなきゃいけないという環境で働いていたので、まじでお金がなかったです。
会社のあり方としては正直ありえないし、ブラックだと思うけど、なんで他の正社員は生きていけているんだろう?と不思議で。
と思ったら、ほぼほぼ既婚者か実家暮らしでした。ああ、なるほど。
実際、働いていた人も「既婚者か家がないと厳しいと思う」って言ってたくらいだったので、「ああ、みんな夢とやる気を食べながら働いているんだ」と察した時点で、私はそれじゃ生きていけないわと思って辞めました。
まあそれだけが理由ではないけどね。
個人の感覚もあるけれど、私は、つらかった。
他の社員は、会社のやり方とか給与とか納得して働いているようだったので、これは普通なのかと思いそうになったけど、早々に気付けてよかったです。
心身すり減らして、寸前のところで辞めたので。
だから、まあ手取り13万円でも生きていくことは不可能ではないです。
絶対に残業無くて、休憩もしっかりとれて、仕事もラクで、休日もカレンダー通りもしくはそれ以上あって、有休も自由に使えるような環境だったら、「高給取りよりこっちを選ぶ!」って人はいるだろうし。
でも、フルタイムで残業ゴリゴリ無休で休日出勤してのこの暮らしと思うと、やっぱりそれはなんか違うんじゃないかと思うんです。
そりゃ、転職すればとか、努力すればとかはあると思います。実際私は転職したわけだし。
でも世の中自由に動けない人もいるんですよね。
介護している人がいる、子どもがいる、行動範囲が限定される、さまざまな都合で職種が限定される…
それでも手にした仕事で、ギリギリで生きていて、税金はしっかり納めて。
それなのにあちこちで税金が垂れ流されているような報道も目にして。
しんどいっしょ。それは。キツいよ。
普通に生きづらくない?
能力がある人はガンガン稼げばいいし、楽しんでくれればいいけれど、でも、みんなが生きやすい世の中になればいいと思うよ。
そんなの不可能なのかもしれないけど、足を引っ張ったり、責めたり、戒めたりするよりは、一緒に方法を考えて行けるような人でいたいと思う。
理想を追いかけることを諦めるのは、諦めよう。
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