プロローグ

「人生いつまで続くかわからない」

私が食べ物についていろいろ思いめぐらす理由はいくつかあるけれど、なによりも大きな理由です。

何歳まで生きられるかわからないから、もしかしたら明日終わってしまうかもしれない人生なら、できるだけ美味しくて、しあわせな気持ちになれるものを食べたいと願います。
だから、新鮮な食材や旬のもの、各地域のもの、伝統的な家庭料理はもちろんですが、ジャンクフードやスナック菓子、インスタント食品、こってりしたラーメンも食べます。(さっぱり醤油ラーメン党だけど時には背脂マシマシこってりも美味しいよね!!)

私にとっての食事のこだわりは「幸せを感じるかどうか」が基準なので、カロリーや栄養バランスもあまり深く、細かくは考えません。食べたいものを我慢して、栄養バランスや成分や健康効果を追い続ける食事は、わたしにとっての「いい食事」ではないからです。

「幸せかどうか」を基準に、食べ物にこだわるようになったのは、大学を出てから約半年間カナダにいた経験がきっかけです。知り合いの紹介で、カナダでオーガニックファームを経営するお宅にお世話になることになりました。もちろん当時はそこでの経験が、後に私の人生にどれほど影響してくるかなんてわかるはずもなく、純粋に楽しく過ごしていました。

カナダから帰国後、東京で仕事に就きますが、6年以上住んでいた(そしてかなりエンジョイしていた笑)にも関わらず、東京のせわしなさと鬱々とした空気、また、仕事にも馴染むことができず早々に辞めました。好奇心をエネルギーに、人生にコマンドがあれば迷うことなくガンガンいこうぜを選んでいた、かつての私はいませんでした。

地元へ帰り、その理由に気がつきました。

私は、高校生の頃からずーっとやりたいことがあって、それはカナダに行った時点である程度叶えられてしまいました。言ってしまえば、長年の夢を叶えてしまった。だから、その先のことなんて考えてなかった。あれ、この先私はなにがやりたいんだろう?と、急に何もないところに来てしまったような感覚。孤独とか不安とか、そーゆーネガティブにも至らないくらい、ぽかーんとしていました。

さあどうしようかと考えて、とりあえず老後までを想像してみることに。もともと自分の人生を想像したときに、ゆくゆくは農業を(とはいえ家庭菜園レベルで)したいなと思っていました。
そして、また気づきます。脳内で人生設計していたけれど、私、何歳まで生きるつもりでいたんだろう?と。《いつか》って思ってることは何歳になったら始めるんだろう?それまで無事に生きてるとでも?なんて疑問が溢れてきました。

いつかやりたい》ことをそのままにしていたら、《いつまでもやらずに》死んでしまうかもしれない。

そう思い、農業の知識も経験もゼロの素人が、会社員として農業という不人気な世界(笑)に飛び込むことにしました。

実際に働いてみて、仕事は休みも一般企業よりは少ないし、天候や生育状況によって勤務時間は変わるし、暑いし寒いし、労働基準法なんてあるようなないようなですが、それでも仕事は楽しいです。

生産する側になって、わかること、気づくこともたくさんありました。
現代の食生活は、昔よりずっとずっと豊かなのに、みんな栄養バランスや、生活習慣病、食材の選び方で悩んでいることに改めて疑問を覚えました。
そして、私自身、食べることや、食べ物を選ぶ価値観を改めて見つめ直し、自分の身体のなかに入れるものを以前より丁寧に考えるようになりました。

あなたは、なんのために食べますか?

痩せるため?太るため?働くため?美容のため?健康のため?映える写真を撮るため?ストレス発散のため?
それとも、なんとなく食べなきゃいけない気がするから?

そこがポカンと抜けてしまったまま、食産業はトトトンっと発展してきたように思います。だから、なんだか多くの人が、行き止まりでウロウロしている気がしてなりません。

原材料がわからない粉末を水にとかして栄養を採ってみたり、話題作りに必要量以上の大盛を提供してみたり、写真映えのする虹色の食べ物に行列ができたり。もちろんそれはビジネスとして、産業の活性化として大きな意味を持つし、成功しているのだろうけど、でももっと、なんか、どこか、ねぇ?なにか抜け落ちてしまっていないかなって、ずっと思っていました。

そもそも毎日、口にするものなのに、意外と詳しい人が少ない。どうしてなんだろう。

育てて、買って、料理して、食べて、生産と消費の両側から感じる小さな疑問や思いを、共感なんてしてもらえなくてもいいから、シェアしていきたい。
そんなささやか思いなんですけど、とりあえず始めてみました。

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