私の人生に大きな影響を与えたカナダのとあるファームに到着した日の話

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今日は成人式ですね。新成人の皆さんおめでとうございます。とはいえ最近は成人の日が月曜で連休になったこともあり、土曜日や日曜日に行われることも一般的になってきたようですね。

とにかく一生に一度の晴れの日に、みんなが「コレだ!」と思う衣装で参加するんだから、とにかく天気だけは良くなるようにと思います。慣れない和服で、雨や雪の中を歩くのは大変だもん。

さて、このブログの話に戻ると、食べものそのものだけに限らず、広い意味で》にまつわるお話もしていこうと思います。たとえば、今も大切な経験となっているカナダでのお話。

あれは23歳になる年だったか、なった年だったか。

私はひょんなきっかけから、カナダのオーガニックファームを営む家に滞在することになりました。

この「ひょんなきっかけ」というのは、その瞬間はささいなくせに、かなり大きな選択の瞬間だったりします。誰かの導きだろうと、自分の選択だろうと、「ひょんなきっかけ」を見逃さないことこそが、人生においてかなり重要だとつくづく思います。

 

そこは、都市部から高速列車で1時間以上。駅の周りにも、家に向かう途中も、もちろん家の周りにもこれといった建物が無い。

私は田舎育ちだと思っていましたが、自分の地元が都会に思えてしまうくらい何も無い。

歩いて行けるどころか、あたりを見渡した視界にお店がありません。

訪れたのが初夏だったこともあり、一面にさまざまな濃淡の緑色が広がっていました。

初めての土地で、電車やバスを間違えながらもどうにかたどり着くことができ、ほっとしたのもつかの間。

案内された私の部屋は、広大な土地の一角に建つ小さな小屋。

窓ガラスも無い木枠の窓には、網戸のように網を貼り付けてあり、その外側に分厚い雨戸のような両開きの戸があるだけ。

およそ4畳半の小屋の中には、ベッドと机とタンス。

ダブルベッドくらい大きな木製のベッドには、パッチワークされたようなカラフルな布団のような、ただの布のようなものが何枚か重ねられている。

同じく木製の年季の入ったタンスは、ぐっと力を入れないと開かない引き出しで、空のところもあれば、ガラクタのようなものが転がっていたり、これまた謎の布が入っていた。

ベッドの隣には、これまた木製の渋い机と椅子。椅子はワックスもかけられている滑らかなすわり心地だったけれど、机は思いっきり木目が浮き出ていて、下敷きをしないと、ガタガタで紙に穴があいてしまうようだった。

その机の上には、この部屋で唯一の電気となる、ランプが置いてあった。

「とりあえず今日はゆっくり休むといいわ」

案内してくれたニカという女性がやさしく声をかけてくれた。

まだ日の高い午後、私は小屋で一人、次に私がとるべき行動を考えていた。

※写真はイメージです

実を言うと、変なところで潔癖ぎみなところがある私は、この状況をどう受け入れようか考えていた。

すきま風入り放題で、きっと虫や、下手したら小動物も入ってくるだろう。

ところどころにほこりは目立つし、枯れ葉や木の実も転がっている。

布団は何だか湿気を帯びているし、なんとなくカビ臭いような気もする。

よっぽどキャンプのほうが快適じゃなかろうか…

それでも、ここでやって行くのだから、考えよう。

荷物を広げることもせずにひたすら部屋を眺めていると、あるイメージが浮かんできた。

それは、宮崎駿監督の「魔女の宅急便」の1シーン。

主人公のキキが、住み込みで働くパン屋さんの屋根裏部屋に入った時のこと。

ああ、そうだ、あんな感じだ。広さも状況もぜんぜん違うけど、あんな感じだ!

小さい頃から大好きで、憧れていたジブリの世界。

今まさにそれに似た状況にいるんだと思えた瞬間、なんてワクワクする場所に来てしまったんだろうと思いました。

だから、その後はもうすっかりキキの気分。

木や柵に太いロープをくくりつけ、どうにかこうにか布団を干し、木の葉やホコリはほうきで外へ。

棚や机は布で拭いて、モップを取り出し床掃除。

その日が、いい天気だったことも今では幸運だったと思う。

すっかり憧れのアニメの主人公気分になってしまった私は、自分でも驚くくらい怖いもの知らずになってしまった。

「怖い」「嫌だ」と思っているうちは、何もかもが憂鬱で、マイナスにしか考えられなかったのが、「大好き」と思った瞬間に、あらゆることが新鮮で、ドラマチックでワクワクするものに変わってしまうことをリアルに体感した。

たとえば同じ床を靴で歩く人もいれば裸足で歩く人もいて、さらにはそこをハイハイする赤ん坊がいたりする。

本来なら、汚いと思うし、そこを赤ちゃんがハイハイするなんてありえないと思うんだけど…

電子レンジが無い暮らしや、一回分の食器をすべて貯めた水で洗うこと。

一杯のホットミルクを飲みたいために、いちいち鍋にかけるなんて面倒だし、食器は流水で洗わないと気がすまないのに…

野菜から、調味料、スパイス、お肉などほとんどの食材を自分たちで育ててまかなうこと。

食べたいものを作るんじゃなくて、作れるものを作って食べるというのは必須項目…冬場の葉物の生野菜がこんなにありがたいなんて…

その日から始まった小さな出来事は、大きな衝撃大きな感動を私に与えました。

当時は、農業に興味はあったものの、職業にしようとまでは考えていませんでした。

帰国後、農業とはまったく関係の無い仕事にいったん就くのですが、早々に辞めてしまいます。

そして気がつけば農業を仕事にしていて、農業の面白さにやられてしまっています。

農業を始めた頃、私がカナダに行っていたことを知る人に「やっぱりカナダの影響なんだね」とよく言われましたが、私としては正直ピンときていませんでした。

たぶん、当時はそこでの経験を、自分なりに噛み砕いて吸収できていなかったからだと思います。

しかし今となっては、このカナダでの一つ一つの出来事が、私にとても大きな影響を与えていたと確実に言えます。

このファームに滞在することで、》を知り、《》を感じ、《生き方》について考えさせられました。

そこでの出来事は、《食》には直接関係無いものもありますが、ひとつずつ、思い出しては書いて行きたいと思います。

いつ終わるかも、いつまでかかるかもわかりませんが、ふーんこんなこともあるんだなって思ってもらえたらいいなあと思います。

つづく。

 

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