職業柄、例年だともう落ち着いてもいい時期なのですが、今年はさまざまな気候条件なども加わり、いまだに忙しさを引きずっています。ちょうど今日で、大体の収穫を終えました。明日からは、片付けや集計作業、さらには来年の準備に入っていく予定です。
さて、今回のアンケートの目的は「いろんな人の”食”に対する考え方」を知ること、そして回答する人たちが、自分の言葉で考えるきっかけとなることでした。
アンケートに協力してくれた人数は、ちょうど30人。
20代から30代中心。うち男性が5人。
統計をとるためのアンケートだったら、極めて少ない人数です。
けれど、私にとっては、30名の回答のすべてがものすごーーーく大切です。
回答内容は、一応データとして残しているんですけどね、あまりにも皆様の回答が愛しすぎて(笑)、ノートにも手書きで残しました。アナログ万歳。
改めて自分で書いてみると、その人の言葉遣いや、表現方法から、内容以上の感情を受け取れるような気がしました。それは「はい」か「いいえ」で選ぶだけの回答では得られないものでした。
どんな人も、生まれてこの方ひとりで生きてきた人なんていないんですね。
人間である以上、誰かのお腹から生まれてきたわけだし、自分で食べ物を得られるようになるまでは、必ず誰かに何かを食べさせてもらってきているんです。さらに言えば、その食べ物を育てたり運んだりしてくれている人もいるわけです。
だから、今の自分の食の好みや思い出、考え方は、必ずそこにきっかけとなった誰かがいるということでもあるんです。
それが、今回のアンケートで、私にとっては確信できるほどの結果となりました。
誰かとの思い出に食べ物が関ることで、その食べ物が好きになること。大切な家族のために、毎食毎食悩みながらも幸せと健康のためにごはんを作る人の愛情。大好きな人たちと一緒に食べることに幸せを感じる人がいること。食事を通して、感謝の気持ちは命のつながりを感じてほしいという願い。
「食べる」が「食べる」という行為だけではないことを改めて気づかせてもらいました。
アンケートの中でも本当によく見た「昔の日本人の食事」。
これって、おそらくいま世界中でも見直されている日本の和食の、ヘルシーさや栄養バランスの良さに注目した食事のことをさしていると思うんですけどね?
でも「昔」って、具体的に言うと、いつ頃のことなんでしょうね。
実は江戸時代くらいにさかのぼった人もいれば、戦前を指した人もいるし、もしくは昭和後期くらいを想像した人もいるかもしれません。なかには「いやいや、そんな具体的な年代とかは無く、なんとなくイメージだよ…」という人もいるでしょうね。ってゆうか大半そうじゃないかと思います。笑
ただ、戦後の貧しい頃の日本の食卓をイメージした人は少ないのかな、とも思います。
「昔」といっても、食糧難で、白いお米もまともに食べられず、野菜も滅多に食べられないような時代がありました。冷害などによる不作で多くの人が飢え死んだこともありました。押し寄せる洋食化の波で、ありとあらゆる食品が日本になだれ込み、目新しさにいろんな物を次々食べていた時代もありました。高度経済成長の影で、公害で汚染された食品で身体を壊す人が出ていた時代もありました。
わたしたちは、いま、どんな食卓を囲むのでしょうか。
あるいは、「囲む」という表現も時代にそぐわなくなりつつありかもしれません。
食事と健康がおおきく関係していることを知りました。洋食の美味しさと、生活習慣病への影響を知りました。和食の健康への効果と、料理としての奥深さ・繊細さを知りました。食品添加物や農薬に関する影響も、以前より問題視されるようになりました。環境ホルモンや遺伝子組み換えなどもまだまだ明らかでない部分が多くあります。
街に出れば、国内外問わずあらゆる料理が、ピンきりの値段で食べられるようになりました。見た目も華やかで美しい食べ物も次々あらわれます。スーパーには、季節や産地に大きく左右されずに、年中あらゆる食材が並ぶようになりました。
わたしたちは、いま、そんな時代を生きています。
多すぎる選択肢の中、なにもかもが多様化していく中で、私たちは、いろんなことに《自分にとっての正解》を見つけなきゃならない空気に飲まれています。
周りの空気や流行を読みながらも、周りに流されるなよ!自分を持てよ!といわれているような、フクザツな空気です。
でも、そんななかでも「食」は自由だと思います。自分の好みも習慣も、気楽に自由に主張できるカテゴリーだと思います。プリンにお醤油をかけようが、納豆にマヨネーズを混ぜようが、「無いな」と思われても、それで仲間はずれにされたり、人格否定されたという話は聞いたことがありません。
あまりにも情報が多くて、いったい何が一番正しくて、ベストなのか、私もわかりません。笑
だけど、頭を痛くするほど悩みながら食べるごはんは健康にもよくないとは思います。
だから、一緒にいろんな食べ物の話をしていきましょう。そのなかに、いつか、あなたや私が、いいね!と思える話があれば、それでいいです。
そんなことを思わせてくれた、30通りの個性あるアンケート結果に、心から感謝します。
ご協力ありがとうございました。
おしまい。
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